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半導体封止用シリカの仕様はどう決める?
―溶融・球状・低α線の違いとサプライヤー・調達側の仕様すり合わせ

半導体封止用シリカにおける「溶融・球状・低α線」は、それぞれ材料構造、粒子形状、放射線管理という異なる評価軸です。本稿では、サプライヤー側と調達側の双方の視点から、これらの要件を仕様、測定方法、アプリケーション評価へ落とし込む考え方を整理し、中国GB/T、日本JIS、ISO/JEDEC規格を跨境供給でどうすり合わせるかを解説します。

材料・製品PMAT 編集部

シリカは半導体封止材料で広く用いられる代表的な無機フィラーであり、エポキシモールドコンパウンド(EMC)やアンダーフィル(Underfill)などに配合され、熱膨張の抑制、硬化収縮の低減、寸法安定性の向上に寄与します[1][2]。実際の仕様協議では、「溶融シリカ」「球状シリカ」「低α線シリカ」は、それぞれ材料構造、粒子形状、α線放出管理という異なる評価軸を表します。同じ半導体封止用シリカが複数の特性を併せ持つこともあり、たとえば球状溶融シリカをさらに低α線仕様で管理することも可能です。これらの評価軸を切り分けて考えることで、サプライヤー側は仕様データを整理しやすくなり、調達側も用途要件を受入規格へ落とし込みやすくなります。

封止材料として見た場合、溶融シリカの基本的な役割は、材料自体の低熱膨張性にあります。溶融シリカを高い割合で配合することで、モールド材や封止樹脂系全体のCTEを低減し、温度変化に伴う寸法変化や熱機械応力を抑えることができます[1][2]。サプライヤー側は、材料種、純度、不純物、ロット間安定性を一貫して示す必要があります。一方、調達側は、それらの特性が対象とするEMCやアンダーフィル配合で必要なCTE、反り、信頼性を満たすかを確認します。球状性や低α線については、加工性と信頼性の目標に応じて別途評価します。

材料自体の要件を定めた後は、粒子形状と粒度設計が高充填時の加工性を左右します。フィラー量を増やすと複合材料のCTEを下げられる一方、粘度や流動抵抗は上昇します。球状粒子は充填密度を高め、樹脂の流動性を改善しやすいため、EMC、Mold Underfill(MUF)、液状封止材などで広く用いられます[1][3]。狭ギャップ用途では粗大粒子の管理も重要で、対象ギャップに応じたcut pointのFine Cutグレードや、その他の粗大粒子管理仕様を選定する必要があります[4]。サプライヤー側は、粒度分布、粒子形状、粗大粒子の管理条件を明確なデータとして提示し、調達側は目標充填率、流動性、封止ギャップに基づいて管理項目と規格値を設定します。

さらに、メモリなどソフトエラー感受性の高いデバイスでは、低α線管理が追加の信頼性要件になります。U、Thおよびその崩壊系列に含まれる微量放射性核種はα粒子を放出し、デバイスのソフトエラー要因の一つとなり得ます[6]。このため、用途に応じて低ウランまたは低α線グレードが設定されます[3][4]。サプライヤー側は、顧客仕様と合意した測定方法に基づき、α線放出率、必要に応じてU、Thなどの関連データを提示します。調達側は、デバイスの感受性、パッケージ構造、信頼性目標から、低α線管理の要否と受入限界値を決定します。JEDEC JESD221は電子材料のα線放出率に関する推奨測定方法を定めており、測定条件や評価結果を双方で確認する際の基準として利用できます[5]。

一般に、海外取引では、試験規格・測定方法のすり合わせはサプライヤー側が主体的に確認し、顧客仕様に適合させる必要があります。中国のサプライヤーが日本顧客へ供給するケースでは、中国国内の品質管理でGB/T 19077-2024「粒度分析 激光衍射法」を採用している一方、日本顧客はJIS Z 8825:2022「粒子径解析―レーザ回折・散乱法」またはISO 13320:2020を指定する場合があります[7][8][9]。JIS Z 8825:2022とGB/T 19077-2024はいずれもISO 13320:2020を同等採用していますが、実際の測定では試料分散条件、結果の表示方法、D50・D90などの具体的な規格条件に差が生じる可能性があります。サプライヤー側はサンプル提出前に、顧客が指定する測定法、測定条件、報告項目を確認し、要求に沿ったデータを提出する必要があります。調達側は、異なる供給元のデータを比較できるよう、仕様書に測定方法と判定限界値を明記することが重要です。

仕様確認の段階では、粉体そのものの品質指標と、実配合で確認するアプリケーション評価指標を分けて考える必要があります。サプライヤー側は、安定量産で管理できる項目を、トレーサブルな仕様値とCoAデータに落とし込みます。具体的には、純度、不純物、粒度、球状度、粗大粒子、必要に応じたα線放出率などです。調達側は、EMC、アンダーフィル、メモリ封止など実際の用途に応じて受入項目の優先順位を決めます。新規サプライヤーやセカンドソースの評価で双方の測定条件が異なる場合は、並行試験によってデータの相関を確認し、同一の樹脂系・プロセス条件で粘度、流動性、CTE、反り、信頼性を比較することが有効です。

以上のように、半導体封止用シリカの仕様設計では、溶融・球状・低α線という三つの評価軸に加え、サプライヤー側と調達側の間で測定方法と受入条件をすり合わせる必要があります。溶融シリカは低熱膨張性と寸法安定性の基盤となり、球状化は高充填時の流動性と加工性を支えます。低α線管理は、ソフトエラーに敏感な特定用途で追加される信頼性要件です。サプライヤー側には、自社の品質管理項目を顧客が比較・検証できるデータへ変換することが求められます。調達側は、パッケージ構造と信頼性目標に基づいて、測定方法と判定限界値を明確にします。仕様項目の定義と評価条件を双方でそろえることができて初めて、粉体データを安定した調達・量産条件へつなげやすくなります。

出典

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